パッチワークをはじめた頃のピースワークが出てきました。まだ会社勤めをしていたころ、お昼休みのわずかな時間の中で、チクチク縫いつないだもの。こんな小さなものなのに、休み時間に1枚作るのが精いっぱいでした。でも忙しい日々の合間に、手元に集中して針を進める時間は不思議と心を落ち着かせてくれました。
今は、キルトトップはミシンで縫っていて、最後の仕上げのキルティング部分だけハンドキルトをするときがあります。時間はそれなりに掛かってしまうけれど、針をゆっくり進める時間は癒やしの効果があるなと感じているし、縫い目が不揃いなところが味わいがあっていいなと思っています。ハンドキルト用の短い針は使わずに、長い針と太口の糸でキルティングをするのが好きです。指ぬきは中指と指の付け根につけています。キルトフープは壊れてしまったので使っていません。
昔の人は、いろいろな生活品を手縫いで作っていて、BOROなどを見るとただただ感心するばかり。でも、裁縫の時間は自分の時間を過ごす大事なひとときだったんじゃないかなと思います。
私の大好きな本「ステラおばさんのアメリカンカントリーのお菓子(主婦の友社)」は、高校生の頃、友人にプレゼントしてもらったものです。今でもときどき眺めては、質素な暮らしと物を大切にするアーミッシュの生き方はお手本にしていきたいなと思っています。また暮らしの中でキルトは大切な女性の手仕事で、1枚のキルトをみんなで協力してハンドキルトしながら、おしゃべりしたり、人生相談したり。みんなで集える時間になっているんです。私もいつかキルト作りを通して、みんなで寄り合える場所を作れたらいいなと思っています。
以下、ステラおばさんのアメリカンカントリーのお菓子の本より引用します。
「アーミッシュの生活にはもちろん、アーリーアメリカンの時代にも、女性たちの手仕事として欠かせないものにパッチワークキルトがあります。服の余りぎれや古くなった服をほどいた布、それらを配色よくつなぎ合わせてベッドカバーやタペストリーに蘇らせる。根気が必要とはいえ、物を大切にする心が生きた素敵な作業です。家族や近所の人が集まって、みんなでわいわい共同作業でひとつの作品に仕上げていくのが”キルティング・ビー”。ことにアーミッシュの人たちにとってはベッドカバーを作るのが習わしで、”ソーイング・ビー”(縫いばち)ともいわれるこの集まりを女性たちはとても楽しみにしています。参加するのは、4歳の子供から80歳のおばあさんまで、その日は朝早くから集まります。子供のこと、学校のこと、結婚のことなどをおしゃべりしながら、手だけは休めず、多い時は半日で6枚も仕上げてしまうこともあるとか。そんな手仕事のあとに登場するのが、みんなで持ち寄った料理や手作りクッキー。これでおいしくお昼をいただいて、お開きに。”ビー”とは、仕事や娯楽のための寄り合いのことをさしますが、由来はガヤガヤとした人々の集まりをみつばちの群れにたとえたことからきているようです。」(※引用:ステラおばさんのアメリカンカントリーのお菓子より)
先日、Instagramのストーリーに挙げたら反応が多かった母が作ってくれたリカちゃん人形の洋服。40年くらい経った今でもセンスいいなぁと思います。手縫いは作り手の気持ちがいつまでもそこに残るような気がして、手縫いっていいなぁと再認識しています。